WordPressサイトのURLを一括置換する際、データベース上のURLを一括置換できる「Search Replace DB」が無料で使えてとても便利です。ただし、FTPサーバにアップロードして利用するなどクセがあるのも事実。本記事ではその使い方や注意点を詳しく解説します。
1. Search Replace DBとは?
1-1. Search Replace DBの概要
Search Replace DBは、WordPressのデータベース内にある情報をオンライン上で一括検索・置換できる便利なツールです。
WordPressサイトのURLが変更になった場合や、特定の文字列を一斉に修正する必要がある際に、効率的な作業を可能にします。このツールは、データベース内のすべてのテーブルを横断的に操作できるため、手動での修正よりも圧倒的に時間と労力を節約できます。
1-2. Search Replace DBの特徴と利点
Search Replace DBの最大の特徴は、そのシンプルさと高い信頼性です。特別なプログラミング知識がなくても、直感的な操作でデータベース内の文字列を簡単に変更できます。またWordPressのコアファイルに影響を与えることなく、データベースのみに対して安全に操作が行える点も大きな利点です。
1-3. 使用前の注意点
Search Replace DBは強力なツールであるがゆえに、誤った操作が重大なサイト障害を引き起こす可能性があります。使用する前には、必ずデータベース全体のバックアップを取得し、実行前に変更内容をしっかり確認することが重要です。
Search Replace DBの利用前に準備しておくこと
Search Replace DBを利用するには、FTPアクセスが必須です。
- FTPサーバにログイン
- wp-config.phpのテキストをコピーしてメモ帳に貼付け
- Search Replace DBで置換するURLと置換後のURL(置換前URL・置換後URL)
wp-config.phpファイルも開けると尚良し。置換前URL・置換後URLは「public_html」も反映されてるものを予め準備しておきましょう。
2. Search Replace DBのインストール方法
2-1. ダウンロードとインストール手順
Search Replace DBを使用するためには下記手順で進めます。
- 公式サイトにアクセスしてユーザ名とメールアドレス登録
- 送付されるメールに記載されたURLをクリック
- ZIPファイルをダウンロードして解凍
- FTPサーバにアクセスしてフォルダをアップロード
公式サイトにアクセスしてユーザ名とメールアドレス登録
Search Replace DB公式サイト:https://interconnectit.com/search-and-replace-for-wordpress-databases/
へアクセス。
Search Replace DB公式サイトURL
URLにアクセスすると下記画面が開くので、ユーザ名とメールアドレスを登録します。ユーザ名は英字で入力するとスムーズです。
お金払うの?
途中、「Total$5.00」と記載がありますが無視でOK。そのまま「Submit to receive your download link」をクリックして次に進みましょう。
送付されるメールに記載されたURLをクリック
登録したメールアドレスに下記メールが届くので、「here」をクリックします。
メールが届かない場合
登録した名前が日本語だとメール送付されない場合があります。英字で名前入力し、正確なメールアドレスを入力して再度メール送付を行ってください。
ZIPファイルをダウンロードして解凍
ZIPファイルがダウンロードされるので解凍します。
FTPサーバにアクセスしてフォルダをアップロード
FTPサーバを開き、解凍したフォルダ(Search-Replace-DB-master)をFTPにアップロードします。アップロードする場所は新サーバのpublic_html直下・WordPressが設置されているフォルダと同じ階層です。
次に、ダウンロードしたファイルをWordPressのルートディレクトリにアップロードし、ブラウザからツールにアクセスします。そのため、FTPにアップロードしたツールの絶対パスをコピーしてメモ帳に貼り付けておきましょう。
ツールにアクセスするURLを作成する
ブラウザ上からSearchReplaceDBにアクセスするためのURLを作成します。
先ほどコピーしたURLメモ帳に貼り付けて、サーバーネームの場所をhttps://に書き換えておきます。FTPサーバ上にSearch-Replace-DB-masterをアップロードすると、例えばエックスサーバであれば下記赤文字が含まれるパスのように表示されている筈です。
- 修正前URL例:
ftp://*****.xsrv.jp/***.com/public_html/Search-Replace-DB-master
- 修正後URL例:
https://***.com/Search-Replace-DB-master
サーバ名を削除してhttps://を追記・public_htmlも削除したURLに修正してください。修正後URLをコピーしておきます。
※WordPressディレクトリを設置した箇所によってパスは異なります。
2-2. ログインと初期設定
ブラウザを開き、修正後URL https://***.com/Search-Replace-DB-master
を入力して検索します。
すぐにツールのインターフェースが表示され、初期設定を行うことができます。
以下を参照してデータを入力してください。
「use regex」に✓を入れて「Test connection」ボタンをクリックすることで、
Search Replace DBがデータベースへ接続され下記のような画面が表示されます。
上手くDBへ接続できない場合は
「Test connection」を押下しても上手く接続されない場合は、DBのテーブル名・ユーザ名・パスワードのいずれかが誤っている可能性が高いです。データベース接続情報はWordPressの`wp-config.php`ファイルに基づいて自動的に読み込まれる箇所もあるのですが、念の為下記情報も取得しておくと良いでしょう。
下記情報は`wp-config.php`ファイルを参照することで確認可能です。
- 接続先DBの名前
- 接続先DBにアクセス権限のあるユーザ名
- 上記ユーザがDBアクセスする際のパスワード
またポート番号については未入力でも接続可能でした。
2-3. ツールをFTPにアップロードするリスクについて
Search Replace DBは強力なツールですがFTPサーバーにアップロードして利用するツールのため、第三者に悪用されるリスクもあります。ツールの使用後は必ずサーバー上から削除するか、アクセス制限を設定しましょう。また、SSL証明書を利用して暗号化通信を行うことも推奨されます。
記事後半で削除方法について解説しています。
3. URL一括置換の手順
3-1. 検索するURL(旧サーバー側)の指定方法
URLを一括置換するためには、まず置換したい文字列を正確に指定する必要があります。通常は、サイトURLの変更時に旧URLを検索文字列として入力します。メモ帳に貼っておいた変換前URLを下記場所に貼り付けましょう。
置換・変更前URLの例
変換前URL:https://***.com/wp-content/uploads/
部分的な文字列や誤った形式を入力すると誤った置換に繋がるため、特にURLは何度も確認しておくことをおすすめします。置換後に誤ったパスだと最悪WordPressにログインできない状態になるかもしれません...
3-2. 置換するURL(新サーバー側)の指定方法
次に、新しいURLを置換文字列として入力します。`www`の有無や、末尾のスラッシュなど、微妙な違いも考慮して設定することが重要です。これらが誤っていると、サイトが正しく表示されなくなる場合があります。
置換・変更後URLの例
変更後URL:https://***.ne.jp/123/wp-content/uploads/
ここでは、public_htmlは未記載でOK、むしろ記載すると上手くHITしませんでした。なので下記赤文字部分は削除しておきましょう。
置換・変更後URLのNG例
変更後URL:https://***.ne.jp/public_html/123/wp-content/uploads/
3-3. 確認と実行
URLの検索・置換文字列を入力した後は、実行前に確認画面が表示されます。
- テスト実行する... 「Do a safe test run」をクリック
- 本番実行する...「Search and Replace」をクリック
テスト実行を行うことで、実際のデータに影響を与えることなく変更内容をシミュレーションできます。画像を取り忘れてしまったのですが、ここめちゃくちゃ大事なところなので置換前のURLがしっかり反映されているか確認してください。操作対象のURL誤りがあると元に戻せません。
URL一括置換後のイメージ
URL一括置換後(本番実行後)のイメージは下記のとおりです。
Cells changed の数値横の赤文字「view changed」をクリックすることで、URLが差し替わった箇所がわかります。
4. 操作時の注意点
4-1. バックアップの重要性
Search Replace DBを使用する前には、必ずデータベースのバックアップを取得することが推奨されます。万が一のエラーやミスに備え、バックアップを取っておくことで、問題が発生した場合にも迅速に復元が可能です。WordPressの管理画面やホスティングサービスのツールを使って、簡単にバックアップが取れますので、事前準備として必ず実行しましょう。
FTPサーバから、新規サーバへ作成したドメインフォルダをローカルへDownloadしておくと完璧です。
4-2. 検索・置換のテスト実行
Search Replace DBには、変更を確定する前にテスト実行機能が搭載されています。この機能を利用することで、実際にどのデータが変更されるかを事前に確認でき、誤置換を防ぐことができます。テスト実行を行わずに直接実行すると、想定外のデータ変更が発生する可能性があるため、このステップを必ず踏むようにしましょう。
4-3. 変更後の動作確認
置換作業を実行した後は、サイト全体の動作確認を行う必要があります。特にページリンクや画像、スタイルシートのURLなどが正しく置換されているか確認します。サイトが正常に表示されていない場合、キャッシュのクリアやプラグインの競合を疑い、トラブルシューティングを行うとよいでしょう。
5. トラブルシューティング
5-1. URLが正しく置換されない場合
URLが期待通りに置換されない場合、まず検索文字列や置換文字列に誤りがないか確認します。末尾のスラッシュや大文字小文字の違いに注意する必要があります。また、データベース内で該当するデータが見つからない場合、テーブルやフィールドの範囲が正しく指定されていない可能性があるため、再確認が必要です。
5-2. エラーが発生した場合の対処法
置換作業中にエラーが発生した場合、原因として考えられるのはデータベース接続の不具合やタイムアウトです。この場合、まずはデータベース接続設定を確認し、タイムアウトが発生している場合には処理を分割して行うことが推奨されます。また、サーバーの負荷状況やPHPの設定もチェックしましょう。
5-3. その他の問題と解決策
意図しないデータが変更される、もしくは一部のデータだけが置換されないといった問題も考えられます。こうした場合は、カスタムフィールドやプラグインが生成する特定のデータが影響を受けている可能性があります。対応するデータを個別に確認し、プラグインやテーマ設定を見直すことで問題解決が図れます。
Search Replace DBを削除する
URL一括置換の完了後、「Search Replace DB」を削除します。一括置換の画面下に「delete me」というボタンが表示されるのでクリックしてください。
ツールへアクセスする際に作成したURL(https://***.com/Search-Replace-DB-master
)を叩き、検索結果に「403 forbidden」と表示されてればツールが無事に削除されています。
念の為、FTPサーバにアクセスして先にアップロードした「Search-Replace-DB-master」フォルダごとまるっと削除しておくと良いでしょう。
6. まとめ
6-1. Search Replace DBの使い方のまとめ
Search Replace DBは、WordPressサイトのデータベース内でURLや文字列を一括置換するための非常に便利なツールです。操作を誤らないように、事前にバックアップを取り、テスト実行を行いながら作業を進めることが重要です。これにより、サイト全体の変更を効率的に行うことができ、時間と手間を大幅に削減できます。
6-2. 他の代替ツールとの比較
Search Replace DBは、直接データベースにアクセスして強力な検索・置換操作を行える一方、WordPressのプラグイン「Better Search Replace」との違いも理解しておくべきです。Better Search Replaceは管理画面から操作できるため、初心者向けであり、少ない手間で変更が可能です。どちらのツールを使用するかは、作業内容や操作の難易度に応じて選びましょう。
6-3. 最後に
Search Replace DBを使用してWordPressのURLやデータを一括置換する際、細心の注意を払い、トラブルが発生しないよう適切な準備を行うことが大切です。サイトの運営に関わる重要な作業であるため、もし不安があれば専門家に相談することも検討しましょう。
よくある質問 (FAQ)
Q1. Search Replace DBは無料で利用できますか?
A1. はい、Search Replace DBは無料で利用可能なオープンソースツールです。
公式サイトから簡単にダウンロードでき、インストール後すぐに使用できます。
Q2. Search Replace DBを使用する前にバックアップを取る必要はありますか?
A2. はい、Search Replace DBはデータベースを直接変更するツールです。
必ず操作前にデータベース全体のバックアップを取ることが推奨されます。万が一のミスがあった場合でも、バックアップがあれば復元が可能です。
Q3. URLの一括置換中にエラーが発生しました。どうすればいいですか?
A3. エラーメッセージを確認し、特定の原因を見つけてください。
データベース接続エラーやタイムアウトが原因の場合は、サーバーのリソースを見直すか、作業を分割して進めると解決することが多いです。
Q4. Search Replace DBを使い終わった後はどうすればいいですか?
A4. Search Replace DBはセキュリティのリスクを伴います。
作業が終わったら必ずサーバーから削除するか、アクセス制限をかけておくことが推奨されます。これにより、第三者による不正アクセスを防ぐことができます。
Q5. WordPressのプラグイン「Better Search Replace」との違いは何ですか?
A5. Better Search ReplaceはWordPressの管理画面から操作できます。
一方でSearch Replace DBは直接データベースにアクセスし、より詳細な操作が可能です。それぞれの利便性に応じて使い分けが必要です。